交通誘導警備員は「不要」なのか?現場のプロが語る存在意義と真実

警備業務について

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最近、インターネット上のコラムやSNSにおいて、道路工事現場に立つ交通誘導員(警備員)の存在意義を疑問視する声を目にしました。

その主張の多くは、

「工事現場は目立つのだから見ればわかるはずだ」

「誘導員がいなくても看板やパイロンがあれば十分ではないか」

「人件費の無駄であり、税金を削減すべきだ」

といった、一見すると合理主義に基づいたものです。

しかし、来る日も来る日も排気ガスにまみれ、刻一刻と変化する路上でハンドルを握るドライバーと向き合い続けている私たちからすれば、こうした意見は「交通社会のリアル」をあまりに軽視していると言わざるを得ません。

なぜ、看板やシステムだけでは命を守りきれないのか。現場の視点から、その本質を紐解いてみたいと思います。

「看板」は無視できても、「人間」は無視できない

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「工事現場は派手な看板やパイロンがあるのだから、運転免許を持つ者なら気づくのが当たり前だ」

という意見があります。しかし、現場の現実は異なります。

人間という生き物は、どれほど注意深い人であっても、慣れた道や単調な走行においては必ず「注意の空白」が生じます。

昨今ではスマートフォンの操作やカーナビの注視、あるいは高齢化に伴う認知能力の低下など、ドライバーの意識が100%前方に向けられている保証はどこにもありません。

静止している看板やパイロンは、意識が逸れているドライバーにとっては風景の一部として処理されてしまいます。しかし、そこで誘導灯を振り、目を見て合図を送る「生身の人間」の存在は、脳に強烈な違和感を与えます。

この「違和感」こそが、無意識に陥っているドライバーを現実に引き戻し、ブレーキを踏ませる「最後のスイッチ」になるのです。

私たちは「誰」を守っているのか

「誘導員が事故に巻き込まれる事例があるなら、最初から置かないほうが被害が少ない」

という、本末転倒とも言える過激な意見もあります。しかし、私たちが現場の最前線、つまり「最も車両に近い場所」に立っているのには、明確な理由があります。

道路工事現場の内部では、多くの作業員が背中を向けて作業をしています。彼らはアスファルトを削る爆音や重機の動作音の中に身を置いており、背後から接近する車両の音を聞き取ることは不可能です。

もし誘導員がいなければ、不注意な車両がノーブレーキで現場に突っ込んだ際、逃げ場のない作業員たちが一度に犠牲となります。誘導員がそこに立っているのは、自分が標的になるためではなく、背後で働く仲間たちを、そして何より「加害者になりかねないドライバー」を守るための、物理的なストッパーとしての役割を果たすためなのです。

「コスト」という数字の裏にある膨大なリスク

「警備員を廃止すれば工事費が下がり、税金の節約になる」

という主張についても、再考が必要です。

確かに人件費はかかります。しかし、誘導員を置かずに事故が発生した場合の社会的・経済的損失を想像してみてください。

一人の命が失われたときの損害賠償、道路の封鎖による物流の停滞、事故処理にかかる行政コスト…。これらは警備員の配置費用とは比較にならないほど巨大です。

また、工事現場は単に車を流すだけではありません。

近隣住民の出入り、自転車の安全確保、歩行者のサポートなど、看板や信号機では対応できない「対人」の微調整を、誘導員がアナログな判断で行っています。

この「柔軟な調整」を廃止すれば、周辺住民とのトラブルや苦情が激増し、結果として工事の遅延=さらなるコスト増を招くのは火を見るより明らかです。

誘導員の「質」と、求められるプロ意識

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もちろん、こうした不要論が噴出する背景には、私たち業界側の課題もあることは認めなければなりません。

誘導員の態度が悪かったり、合図が不明確であったりすることで、ドライバーに不快感や「邪魔だ」という感情を抱かせてしまっている現実は否定できません。

しかし、一部の質の低さをもって「職種そのものを廃止せよ」と断じるのは、あまりに極端です。求められるべきは「廃止」ではなく、より高度な教育と、プロフェッショナルとしての地位向上です。

私たちは、単に旗・棒を振っているのではありません。

道路という公共の空間において、スムーズな交通と、工事という必要な社会活動を両立させるための「コーディネーター」なのです。

最後に。お互いの「生存戦略」として

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交通誘導員に法的強制力はありません。私たちがお願いしているのは、あくまでドライバーの皆様の「任意の協力」です。

しかし、その協力の積み重ねが、日本の道路の驚異的な安全性を支えてきました。

誘導員の指示に従うことは、決して「誰かに屈する」ことではありません。それは、現場で働く誰かの父であり、母である作業員の命を守り、そして何よりあなた自身の「事故を起こさない、平穏な日常」を維持するための、最も賢明な選択なのです。

「邪魔だな」と感じるその瞬間の先に、誰かの命がある。 私たちは今日も、その重みを感じながら、現場に立ち続けたいと思います。

株式会社唯心 警備事業部について

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株式会社唯心 警備事業部は、東京都を拠点に建設・工事現場を対象とした警備事業を請け負っています。

会社名株式会社 唯心(YUISIN Co., Ltd.)
所在地〒111-0022 東京都台東区清川1-23-1
連絡先TEL 03-6458-1011(警備事業部代表)
設立日2012年11月6日
事業内容・総合警備事業
・葬祭関連事業

採用情報は、以下のページにてご確認ください。

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